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ノーベル物理学賞を受賞された益川敏英さんから11.16シンポジウムの成功願うメッセージ届く
ノーベル物理学賞を受賞された益川敏英さん(京都大学名誉教授、京都産業大学理学部教授)から、メッセージが届きました。私たちが11月16日に開催するシンポジウム「科学・技術の危機とポスドク問題〜高学歴ワーキングプアの解消をめざして」の大きな成功を願ってのメッセージとなっています。以下、そのメッセージを掲載します。
科学・技術の危機とポスドク問題シンポジウムの成功を
社会的に科学と技術の発展が欠かせない時代に、人材の面からも研究資金の面からも脆弱さが進行しています。この様な時期に真正面からこの問題をとらえ解消をめざしシンポジウムを企画されている皆様に敬意を表します。このシンポジウムが大きな成果を収め、次の一歩への礎に成ります事を願ってエールを送ります。
京都産業大学理学部
教授 益川敏英
科学・技術の危機とポスドク問題シンポジウムの成功を
社会的に科学と技術の発展が欠かせない時代に、人材の面からも研究資金の面からも脆弱さが進行しています。この様な時期に真正面からこの問題をとらえ解消をめざしシンポジウムを企画されている皆様に敬意を表します。このシンポジウムが大きな成果を収め、次の一歩への礎に成ります事を願ってエールを送ります。
京都産業大学理学部
教授 益川敏英
大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善に関する質問主意書(石井郁子衆議院議員)
石井郁子衆議院議員(日本共産党)が、私たちの取り組みと合致した「質問主意書」を提出していますので、紹介します。
平成二十年十月二三日
提出者 石井郁子
衆議院議長 河野洋平 殿
大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善に関する質問主意書
ノーベル物理学賞を南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏が受賞、続いて化学賞を下村脩氏が受賞するなど、日本の基礎研究の水準の高さが世界に示された。しかし、これらの成果は一九六〇年から七〇年代の研究が評価されたものである。一方で、現在の基礎研究がおかれている貧困な研究条件のもとで将来もノーベル賞受賞者がうまれるのか疑問の声が各方面からよせられている。研究の主体を担う国立大学は小泉構造改革のもと法人化され、以来、基礎的教育研究費や人件費である運営費交付金が毎年減らされ、また教職員の人件費削減が押しつけられている。そして即成果につながる研究にたいして予算が重点的につけられるなかで「基礎研究の将来が危ぶまれる状態」が続いている。また、大学院の博士課程を卒業しても研究職のポストがなく非常勤講師や短期雇用のポストドクター(博士号取得後の任期付き研究奨励制度を受けている人)につくことを余儀なくされ、「高学歴ワーキングプア」とさえいわれる事態が進行している。
このような事態は我が国の基礎研究の衰退をまねくとともに学術・研究の豊かな発展を阻害し、社会的基盤を損なうものといわなければならない。基礎研究分野での将来のノーベル賞は「夢のまた夢」になりかねない。このような現状を改善するため長期的視野にたち基礎研究を重視するとともに人を育てる政策へと転換することが求められている。
そこで今回は研究者養成とりわけ大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善について以下質問する。
一、今年「日本物理学会誌」(六月号)に「ある非常勤講師の場合」(勝木渥著)という一文が寄稿された。それには研究職につくことができず非常勤講師をつづけながら無給で研究を継続している五〇歳の人がいるという痛ましい例が紹介されている。日本の研究者のおかれている現状を告発するものであり紹介したい。
一九八二年国立大学の信州大学で固体物理学を学び卒業したT氏は東北大学修士課程で低温物理の実験系の研究室に所属した。一九八八年三月から九二年三月までの四年間フィンランドのヘルシンキ工科大学低温研究室で研究員として超流動ヘリウム3の研究を行い工学博士の学位を取得、九二年三月から二年間イギリスのランカスター大学でポストドクターとして超流動ヘリウム3の研究をおこない九四年三月に帰国した。帰国後研究職もなく一〇年余にわたり複数の大学の非常勤講師を勤め、それで生計をたて東京大学物性研究所(柏市)で無給の外来研究員として研究を続けている。
首都圏の四つの大学で一週間に一五コマの授業をこなしその合間をぬっての研究である。年間四五〇万円の収入しかなく、その上国民年金や健康保険料が全額自己負担である。しかもその授業コマ数が次年度確保される保障もなくきわめて不安定な状況におかれている。一週間に一五コマをうけもつことは国立大学の専任教員ではありえないし、私立大学では六コマが標準的である。このように生活を維持するため非常勤講師の仕事におわれながら長期にわたって研究を続けるということはあまりにも過酷といわなくてはならない。このような例はけっして特異なものではない。
政府は能力のある研究者がこのような状態で研究をつづけなくてはならない実態をどう認識しているか。
二、もう一つ例をあげたい。国立大学のK大学理学部生物学科を卒業したKさんは東京大学の理学部動物学専攻に入り博士課程を修了した。博士課程修了後に理化学研究所のライフサイエンスのポスドクを四年間つとめその後アメリカの大学に二年間留学した。帰国後大学の公募に願書を提出しても職はなく、現在常用型派遣会社の労働者として働き、東京のある大学で専門外の電池開発にたずさわっている。月々手取り二五万円で、多額の奨学金の返済もあり苦しい生活という。この方は「派遣会社の技術社員としてただ生きている」だけで、「三四歳の時点で研究者としては死にました」「こんな働き方なら、博士号をとる必要はなかった」と述べている。
政府は、博士課程を修了してもその高度な知識と能力をいかす場がなく派遣会社の技術社員として生活しなければならないというのでは社会にとっての大きな損失と考えないか。
三、大学院の博士課程修了者(約一万六千人)のうち半数近くが就職できず、今社会問題化している。政府が一九九〇年以来「大学院の倍増」政策をすすめたものの、教員の増員など博士が活躍できる場を確保してこなかった責任は大きい。
大学や行政法人まかせにする態度はゆるされない。政府として若手研究者にたいする研究職確保の方策をどのように考えているのか。また、若手のみならず、若い頃適切な研究職につけなかった研究者(おおむね五〇歳以上)に対する研究職確保の方策はどのように考えるか。
四、政府はポストドクター支援の拡大をはかってきたというが、文部科学省の調査でさえ平均給与は月額三〇万六千円にしかすぎず、一年から五年の契約期間をすぎれば引き続き就職が確保される保障もない不安定な状況におかれている。安定的な就職を確保する抜本的施策がもとめられるが政府として、具体的にどのようなことを考えているのか。
五、この間の国立大学法人の運営費交付金削減また五年間で五%の人件費削減の押しつけが退職教官の定員不補充など教育・研究職の確保、拡大を困難にしている元凶となっている。この五年間での運営費交付金の削減額は六〇二億円で一橋大学規模の大学が一〇校無くなったに等しい。この四年間の国立大学法人の人件費削減による教職員の削減数を年度毎にあきらかにしてもらいたい。
六、国立大学の運営費交付金の削減、人件費削減の押しつけをやめないかぎり教育・研究職の確保・拡大は困難である。政府として運営費交付金については増額する、人件費削減はやめると言明すべきだがどうか。
七、若手研究者の就職難を解決するためには企業による博士課程修了者の採用を増やす必要がある。平成二〇年六月四日の文部科学委員会で私の質問にたいして森口政府参考人は「今後とも若手研究者の採用を一層すすめてもらうよう働きかけていきたい」と答弁していたが、いつどのように働きかけ何人の就職確保拡大につながったのかも具体的に明らかにされたい。企業による採用をふやすための来年度以降の取組について具体的に明らかにされたい。また、他の先進国に比べても少ない教師や公務員の増員をはかるとともに博士の採用の道を拡げるようにすべきだがどうか。
八、また同日の質問にたいし、森口参考人はテニュアトラック制(ポスドク後に研究職が保障される制度)導入に向けた支援、科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業など進めていると答弁していたが、どの大学で何人テニュアトラック制が実施されているのか具体的に明きらかにされたい。今後テニュアトラック制による雇用創出をどれだけ生み出していくのか具体的に明らかにされたい。
九、キャリアパス多様化促進事業がどのように取り組まれどのような成果をあげているか具体的に明らかにされたい。博士の就職難は科学技術分野だけではない。この事業の対象を人文・社会科学系にも拡げるようにすべきだと思うがどうか。また採択機関を抜本的に増やすこと、機関間の情報交換、連携・交流を強化すべきではないか。
十、先に大学非常勤講師の例をあげた。非常勤を一五コマ受け持って四五〇万円の手取りではあまりにも安すぎるし専任教員との格差が激しい。一五コマ受け持たなくては生活が維持できないような状態を改善するため、時間単価を引き上げる必要がある。文部科学省として目安をしめすべきだがどうか。専任教員との「同一労働同一賃金」の原則を適用した場合、非常勤講師の一コマ給与をどれだけ確保すべきだと考えるか。
十一、また大学の教育の相当な部分を非常勤講師に依存していることも問題である。先に例としてあげたT氏が授業を受け持っている国立大学では非常勤講師数が専任教員数より上回り、教員数は非常勤講師四に対し専任教員三という割合だった。
政府として、大学教育において非常勤講師が占める割合についてどのような認識をもっているのか。これまで調査をおこなったことがあるのか。さらに今後調査を行う意思があるのか。
十二、非常勤講師は調整弁としてつかわれており人権上の問題でもある。このような安上がりの教育ではなく、非常勤講師が研究者として活動でき、生活が保障されるよう専任教員として採用し身分の安定をはかるべきだがどうか。
十三、大学院博士課程入学者数は、志願者の意思や受け入れ側の条件などから、分野や年度によって変動するのが自然であり、画一的に定員充足率で評価することは大学院教育にとって適切ではない。大学院の定員制度の柔軟化をはかるべきだと考えるがどうか。
十四、高等教育費にたいする公的財政支出が、OECD諸国の平均はGDP比で一.一%であるのにたいし、我が国のそれは〇.五%にしか過ぎない。このことが日本の高等教育の教育と研究にさまざまなゆがみをもたらしている。高等教育費に対する公的財政支出を諸外国並にひきあげ、抜本改善をはかるべきだがどうか。
右質問する。
平成二十年十月二三日
提出者 石井郁子
衆議院議長 河野洋平 殿
大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善に関する質問主意書
ノーベル物理学賞を南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏が受賞、続いて化学賞を下村脩氏が受賞するなど、日本の基礎研究の水準の高さが世界に示された。しかし、これらの成果は一九六〇年から七〇年代の研究が評価されたものである。一方で、現在の基礎研究がおかれている貧困な研究条件のもとで将来もノーベル賞受賞者がうまれるのか疑問の声が各方面からよせられている。研究の主体を担う国立大学は小泉構造改革のもと法人化され、以来、基礎的教育研究費や人件費である運営費交付金が毎年減らされ、また教職員の人件費削減が押しつけられている。そして即成果につながる研究にたいして予算が重点的につけられるなかで「基礎研究の将来が危ぶまれる状態」が続いている。また、大学院の博士課程を卒業しても研究職のポストがなく非常勤講師や短期雇用のポストドクター(博士号取得後の任期付き研究奨励制度を受けている人)につくことを余儀なくされ、「高学歴ワーキングプア」とさえいわれる事態が進行している。
このような事態は我が国の基礎研究の衰退をまねくとともに学術・研究の豊かな発展を阻害し、社会的基盤を損なうものといわなければならない。基礎研究分野での将来のノーベル賞は「夢のまた夢」になりかねない。このような現状を改善するため長期的視野にたち基礎研究を重視するとともに人を育てる政策へと転換することが求められている。
そこで今回は研究者養成とりわけ大学院博士課程修了者の就職確保と研究条件改善について以下質問する。
一、今年「日本物理学会誌」(六月号)に「ある非常勤講師の場合」(勝木渥著)という一文が寄稿された。それには研究職につくことができず非常勤講師をつづけながら無給で研究を継続している五〇歳の人がいるという痛ましい例が紹介されている。日本の研究者のおかれている現状を告発するものであり紹介したい。
一九八二年国立大学の信州大学で固体物理学を学び卒業したT氏は東北大学修士課程で低温物理の実験系の研究室に所属した。一九八八年三月から九二年三月までの四年間フィンランドのヘルシンキ工科大学低温研究室で研究員として超流動ヘリウム3の研究を行い工学博士の学位を取得、九二年三月から二年間イギリスのランカスター大学でポストドクターとして超流動ヘリウム3の研究をおこない九四年三月に帰国した。帰国後研究職もなく一〇年余にわたり複数の大学の非常勤講師を勤め、それで生計をたて東京大学物性研究所(柏市)で無給の外来研究員として研究を続けている。
首都圏の四つの大学で一週間に一五コマの授業をこなしその合間をぬっての研究である。年間四五〇万円の収入しかなく、その上国民年金や健康保険料が全額自己負担である。しかもその授業コマ数が次年度確保される保障もなくきわめて不安定な状況におかれている。一週間に一五コマをうけもつことは国立大学の専任教員ではありえないし、私立大学では六コマが標準的である。このように生活を維持するため非常勤講師の仕事におわれながら長期にわたって研究を続けるということはあまりにも過酷といわなくてはならない。このような例はけっして特異なものではない。
政府は能力のある研究者がこのような状態で研究をつづけなくてはならない実態をどう認識しているか。
二、もう一つ例をあげたい。国立大学のK大学理学部生物学科を卒業したKさんは東京大学の理学部動物学専攻に入り博士課程を修了した。博士課程修了後に理化学研究所のライフサイエンスのポスドクを四年間つとめその後アメリカの大学に二年間留学した。帰国後大学の公募に願書を提出しても職はなく、現在常用型派遣会社の労働者として働き、東京のある大学で専門外の電池開発にたずさわっている。月々手取り二五万円で、多額の奨学金の返済もあり苦しい生活という。この方は「派遣会社の技術社員としてただ生きている」だけで、「三四歳の時点で研究者としては死にました」「こんな働き方なら、博士号をとる必要はなかった」と述べている。
政府は、博士課程を修了してもその高度な知識と能力をいかす場がなく派遣会社の技術社員として生活しなければならないというのでは社会にとっての大きな損失と考えないか。
三、大学院の博士課程修了者(約一万六千人)のうち半数近くが就職できず、今社会問題化している。政府が一九九〇年以来「大学院の倍増」政策をすすめたものの、教員の増員など博士が活躍できる場を確保してこなかった責任は大きい。
大学や行政法人まかせにする態度はゆるされない。政府として若手研究者にたいする研究職確保の方策をどのように考えているのか。また、若手のみならず、若い頃適切な研究職につけなかった研究者(おおむね五〇歳以上)に対する研究職確保の方策はどのように考えるか。
四、政府はポストドクター支援の拡大をはかってきたというが、文部科学省の調査でさえ平均給与は月額三〇万六千円にしかすぎず、一年から五年の契約期間をすぎれば引き続き就職が確保される保障もない不安定な状況におかれている。安定的な就職を確保する抜本的施策がもとめられるが政府として、具体的にどのようなことを考えているのか。
五、この間の国立大学法人の運営費交付金削減また五年間で五%の人件費削減の押しつけが退職教官の定員不補充など教育・研究職の確保、拡大を困難にしている元凶となっている。この五年間での運営費交付金の削減額は六〇二億円で一橋大学規模の大学が一〇校無くなったに等しい。この四年間の国立大学法人の人件費削減による教職員の削減数を年度毎にあきらかにしてもらいたい。
六、国立大学の運営費交付金の削減、人件費削減の押しつけをやめないかぎり教育・研究職の確保・拡大は困難である。政府として運営費交付金については増額する、人件費削減はやめると言明すべきだがどうか。
七、若手研究者の就職難を解決するためには企業による博士課程修了者の採用を増やす必要がある。平成二〇年六月四日の文部科学委員会で私の質問にたいして森口政府参考人は「今後とも若手研究者の採用を一層すすめてもらうよう働きかけていきたい」と答弁していたが、いつどのように働きかけ何人の就職確保拡大につながったのかも具体的に明らかにされたい。企業による採用をふやすための来年度以降の取組について具体的に明らかにされたい。また、他の先進国に比べても少ない教師や公務員の増員をはかるとともに博士の採用の道を拡げるようにすべきだがどうか。
八、また同日の質問にたいし、森口参考人はテニュアトラック制(ポスドク後に研究職が保障される制度)導入に向けた支援、科学技術関係人材のキャリアパス多様化促進事業など進めていると答弁していたが、どの大学で何人テニュアトラック制が実施されているのか具体的に明きらかにされたい。今後テニュアトラック制による雇用創出をどれだけ生み出していくのか具体的に明らかにされたい。
九、キャリアパス多様化促進事業がどのように取り組まれどのような成果をあげているか具体的に明らかにされたい。博士の就職難は科学技術分野だけではない。この事業の対象を人文・社会科学系にも拡げるようにすべきだと思うがどうか。また採択機関を抜本的に増やすこと、機関間の情報交換、連携・交流を強化すべきではないか。
十、先に大学非常勤講師の例をあげた。非常勤を一五コマ受け持って四五〇万円の手取りではあまりにも安すぎるし専任教員との格差が激しい。一五コマ受け持たなくては生活が維持できないような状態を改善するため、時間単価を引き上げる必要がある。文部科学省として目安をしめすべきだがどうか。専任教員との「同一労働同一賃金」の原則を適用した場合、非常勤講師の一コマ給与をどれだけ確保すべきだと考えるか。
十一、また大学の教育の相当な部分を非常勤講師に依存していることも問題である。先に例としてあげたT氏が授業を受け持っている国立大学では非常勤講師数が専任教員数より上回り、教員数は非常勤講師四に対し専任教員三という割合だった。
政府として、大学教育において非常勤講師が占める割合についてどのような認識をもっているのか。これまで調査をおこなったことがあるのか。さらに今後調査を行う意思があるのか。
十二、非常勤講師は調整弁としてつかわれており人権上の問題でもある。このような安上がりの教育ではなく、非常勤講師が研究者として活動でき、生活が保障されるよう専任教員として採用し身分の安定をはかるべきだがどうか。
十三、大学院博士課程入学者数は、志願者の意思や受け入れ側の条件などから、分野や年度によって変動するのが自然であり、画一的に定員充足率で評価することは大学院教育にとって適切ではない。大学院の定員制度の柔軟化をはかるべきだと考えるがどうか。
十四、高等教育費にたいする公的財政支出が、OECD諸国の平均はGDP比で一.一%であるのにたいし、我が国のそれは〇.五%にしか過ぎない。このことが日本の高等教育の教育と研究にさまざまなゆがみをもたらしている。高等教育費に対する公的財政支出を諸外国並にひきあげ、抜本改善をはかるべきだがどうか。
右質問する。
大学教員もワーキングプア 研究者志望の若者を待つ茨の道
週刊東洋経済(10/18)が、大学特集を組んでいます。少子化による18歳人口の減少という「市場縮小」に直面し、2008年度に定員割れを起こした私立大学は47.1%(前年度比7.4%増)と全体の約半数になり、国立大学法人も連年の運営費交付金削減で青息吐息。日本の大学が危機に陥っている背景には、OECD加盟30カ国中でワースト1位の大学への公的支出にあります。その結果、世界一高い学費と、貧弱な奨学金制度が学生を襲い、「教育の格差拡大」「教育の機会不平等」がまかりとおっています。日本のように授業料が高く、しかも奨学金制度が未整備な国は他にはないのです。
4年制大学を卒業すると返還する総額が775万円にものぼる「教育ローン化している奨学金」を返済できない人が急増しています。低所得を理由に返済できない人が、2001年度19.1%から2006年度45.1%と2倍以上増加。無職・失業を理由に返済できない人が、2001年度6.5%から2006年度23.5%と3倍以上も増加しています。これは、大学卒業後、安定した収入を得られる職業が見つからないなど雇用環境の悪化が背景にあり、大学で福祉を専攻した学生は、「卒業後は福祉関係の仕事に就きたいがどこも月給12万〜13万円ほど。返還していけるだろうか」と不安をつのらせています。
特集の中で、労働経済ジャーナリストの小林美希さんが、「大学教員もワーキングプア/『博士課程修了者倍増』の国策は達成されたが、定職に就けない高学歴ワーキングプアが大量発生。研究者志望の若者を待つ茨の道の実態は」と題したルポを書いています。
年収100万〜150万円のワーキングプアの状態におかれている35歳の非常勤講師2人と、41歳の非常勤講師の窮状がルポされています。
1コマ約7,000円、8つの大学でやっと14コマを確保した早稲田大学大学院で博士号を取得した35歳の男性の年収は150万円。「講座を受け持つと、委任状はもらえるのだが、労働契約は今まで、1度も交わしたことがない。『文句を言えばその後の就職に響くため、我慢している』という」、「年度末になって突然、『来年度からは講座がありません』と、紙切れ一つで知らされた」など突然雇い止めされる不安定な身分におかれています。
一橋大学大学院で博士号を取得した41歳の男性は、「現在、4つの大学で非常勤講師をしているが、月収は12万〜15万円。もう10年近くワーキングプアの状態」が続いています。
そして、2004年度から始まった国立大学の独立行政法人化に伴い、国から支出される運営費交付金が毎年1%ずつ削減され、非常勤講師の雇用条件はますます悪くなるばかりです。
都内の国立大学の元理事は、「定年退職した教員の後任は補充せず、専任講師の講座は非常勤に置き換えた。非常勤の単価も独法化後に3割カットした」と語っています。
(byノックオン)
4年制大学を卒業すると返還する総額が775万円にものぼる「教育ローン化している奨学金」を返済できない人が急増しています。低所得を理由に返済できない人が、2001年度19.1%から2006年度45.1%と2倍以上増加。無職・失業を理由に返済できない人が、2001年度6.5%から2006年度23.5%と3倍以上も増加しています。これは、大学卒業後、安定した収入を得られる職業が見つからないなど雇用環境の悪化が背景にあり、大学で福祉を専攻した学生は、「卒業後は福祉関係の仕事に就きたいがどこも月給12万〜13万円ほど。返還していけるだろうか」と不安をつのらせています。
特集の中で、労働経済ジャーナリストの小林美希さんが、「大学教員もワーキングプア/『博士課程修了者倍増』の国策は達成されたが、定職に就けない高学歴ワーキングプアが大量発生。研究者志望の若者を待つ茨の道の実態は」と題したルポを書いています。
年収100万〜150万円のワーキングプアの状態におかれている35歳の非常勤講師2人と、41歳の非常勤講師の窮状がルポされています。
1コマ約7,000円、8つの大学でやっと14コマを確保した早稲田大学大学院で博士号を取得した35歳の男性の年収は150万円。「講座を受け持つと、委任状はもらえるのだが、労働契約は今まで、1度も交わしたことがない。『文句を言えばその後の就職に響くため、我慢している』という」、「年度末になって突然、『来年度からは講座がありません』と、紙切れ一つで知らされた」など突然雇い止めされる不安定な身分におかれています。
一橋大学大学院で博士号を取得した41歳の男性は、「現在、4つの大学で非常勤講師をしているが、月収は12万〜15万円。もう10年近くワーキングプアの状態」が続いています。
そして、2004年度から始まった国立大学の独立行政法人化に伴い、国から支出される運営費交付金が毎年1%ずつ削減され、非常勤講師の雇用条件はますます悪くなるばかりです。
都内の国立大学の元理事は、「定年退職した教員の後任は補充せず、専任講師の講座は非常勤に置き換えた。非常勤の単価も独法化後に3割カットした」と語っています。
(byノックオン)
ノーベル賞に大騒ぎだが「ガリレオ」なんてどこにいる? 若き理系の博士、ポスドクの果てはフリーターか
日刊ゲンダイ(10/16)が、「ノーベル賞に大騒ぎだが『ガリレオ』なんてどこにいるの? 若き理系の博士はカツカツだ!!/“ポスドク”の果てはフリーターか」と見出しを打ち、ほぼ1面をつかった記事を掲載しました。
4人の日本人科学者がノーベル賞を受賞して、現在、興収トップを走る映画「容疑者Xの献身」は、福山雅治演じる若き物理学者ガリレオが主役。(私は映画は未見ですが、東野圭吾の原作は大好きです)
こうして巷では、理系の博士が脚光を浴びているのに、現実の若き科学者からは「やめたほうがいいかも」とタメ息が聞こえてくる実態があることを、この記事では告発しています。
今回、ノーベル賞を受賞した南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏、下村脩氏は、いずれも博士課程修了後すぐ、大学の研究室で助手として研究に没頭して出した研究成果が認められました。
ところが、いまは大学院で博士号を取得しながらも、定職に就けない“ポスドク”であふれています。
若手研究者としてもっとも研究に没頭できる時期に、「雑用とか日頃のノルマ達成に時間を費やさざるを得ない。次の働き口へPRするため、小さな成果を求める研究に時間が割かれています」、「年収250万円で朝から深夜2時まで拘束されるポスドク」、「いまいる研究所の任期が満了したら、次の就職先を探さないいけない。必ず見つかる保証はない」「次の職場はコンビニでレジ打ちか?」など、不安定で劣悪な研究・労働条件におかれ、研究に没頭するどころか、「理系の若き博士たちは数式以外に、実生活という難問に挑む日々を送っている」と記事は結んでいます。
(byノックオン)
4人の日本人科学者がノーベル賞を受賞して、現在、興収トップを走る映画「容疑者Xの献身」は、福山雅治演じる若き物理学者ガリレオが主役。(私は映画は未見ですが、東野圭吾の原作は大好きです)
こうして巷では、理系の博士が脚光を浴びているのに、現実の若き科学者からは「やめたほうがいいかも」とタメ息が聞こえてくる実態があることを、この記事では告発しています。
今回、ノーベル賞を受賞した南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏、下村脩氏は、いずれも博士課程修了後すぐ、大学の研究室で助手として研究に没頭して出した研究成果が認められました。
ところが、いまは大学院で博士号を取得しながらも、定職に就けない“ポスドク”であふれています。
若手研究者としてもっとも研究に没頭できる時期に、「雑用とか日頃のノルマ達成に時間を費やさざるを得ない。次の働き口へPRするため、小さな成果を求める研究に時間が割かれています」、「年収250万円で朝から深夜2時まで拘束されるポスドク」、「いまいる研究所の任期が満了したら、次の就職先を探さないいけない。必ず見つかる保証はない」「次の職場はコンビニでレジ打ちか?」など、不安定で劣悪な研究・労働条件におかれ、研究に没頭するどころか、「理系の若き博士たちは数式以外に、実生活という難問に挑む日々を送っている」と記事は結んでいます。
(byノックオン)
ノーベル賞連発で浮かれてる場合じゃない〜ワーキングプアが支える日本の科学・技術の貧困
きょう、10月15日は「Blog Action Day」。世界中のブロガーが、年に一度、同じ日に同じテーマについてブログで取り上げる活動をするという非営利のイベントです。そして、ブログを通じて、そのテーマについての興味を世界中に喚起して、討論のきっかけとし、問題解決へのとっかかりになることを目指します。今年、2008年のテーマは「貧困」。ですので、私が手がけている科学技術政策シンポジウム(11月16日、「科学・技術の危機とポスドク問題〜高学歴ワーキングプアの解消をめざして」)にからめて、表題を「ノーベル賞連発で浮かれてる場合じゃない〜ワーキングプアが支える日本の科学・技術の貧困」でいきたいと思います。
たて続けに日本人のノーベル賞受賞者が4人も出て、大きな話題になっていますが、東京新聞(10/9)は、「ノーベル賞に4氏…お寒い国内事情/実利偏重、学問立ち枯れ、基礎研究 食べていけぬ/人件費削減 大学授業も『マクドナルド化』」と見出しを打って特集を組んでいます。
「今後も日本の科学者が評価されるか、見通しは暗い」「産業や経済を優先し、短期成果ばかり求めるようなばかなことを続ければ、何年かたった時に日本の科学はどうしようもない状態になる」(放送大学・海部宣男教授・前国立天文台長)
「資金を得るための書類書きなどで忙しくなっている。近視眼的に役に立つ分野を優遇した結果、基礎分野が立ち枯れている」(総合研究大学院大学・池内了教授)
「国の政策を念頭に置いて採択されやすい研究内容にシフトし、企業などに擦り寄る姿勢が濃くなっている」「文科省は国立大学への運営費交付金を毎年1%ずつ減らし、大学も人件費を削っている」「科目自体が削られ、いわば、授業のメニューが少ない『マクドナルド化』となり、批判的な考えや違うものの見方は切られ、学問的な土壌は荒れ果てていく」(富山大学・小倉利丸教授)
「受験生は大学卒業後や就職を考えて動く」「じっくり基礎科学をやろうという学生が減っている。理学部の受験者が減っているし、そもそも物理で受験する生徒が減った」(河合塾・神戸悟元教育研究部員)
「独法化で研究の独立採算が掲げられたが、基礎科学が儲かるはずがない」「大学人の本務は研究と教育。しかし、独法化後、それとかけ離れたアピールと評価で忙しくなった。申請書の準備、組織いじり、ナントカ会議にカントカ委員会が殺到して時間が奪われる。当然、業績は長期的には落ちていくだろう」(東工大資源化学研究所長・吉田賢右教授)
「業績主義の独法化で基礎研究は細り、研究者のやる気も萎えているのが現状だ」(和光大学・最首悟名誉教授)
こうした研究者の悲痛な声とともに、特集記事では、「小泉改革の一環で『大学にも経済原理を導入する』という2004年4月の国立大学の独立行政法人化(独法化)などが影響し、儲からない学問を隅に追いやる傾向は強まるばかりだ」と指摘するとともに、「就職できない研究者が多いポストドクター(ポスドク)問題」もとりあげ、「教授ポスト削減傾向の中、研究者は一層、苦しい立場に追い込まれている」と日本の「基礎研究」を取り巻くお寒い状況を告発しています。
朝日新聞(10/10)には、今回、ノーベル物理学賞を受賞した高エネルギー加速器研究機構名誉教授・小林誠さんと、2001年ノーベル化学賞受賞の野依良治さん、2002年ノーベル物理学賞受賞の小柴昌俊さんの座談会が掲載され、次のやりとりが紹介されています。
小柴 宇宙の最初がどうだったかなんて、分かったところでどの産業の利益にもならない。やはり基礎科学は国が何とかしてくれないと、どうにもならない。国が本気で考えてほしい。
野依 今回の賞は基礎中の基礎分野だったことに意味がある。
小林 最近は競争、成果を強調しすぎている気がする。もう少し大学での基礎研究を重視してほしい。
また、「高学歴ワーキングプアは発言する〜『大学非常勤講師の実態と声2007』を手掛かりに」(『季刊ピープルズ・プラン』2008年夏号掲載。首都圏大学非常勤講師組合執行委員の南雲和夫さんが執筆。※じつは南雲さんは私の大学の先輩です)では、「大学の非常勤講師は、全国に3万人以上いて、平均年収が300万円程度であり、そのうちなんと4割が年収250万円以下であること、さらに大学講義のコマ数の4割を担っていること」を明らかにしています。なんと、日本の大学講義の4割を、「高学歴ワーキングプア」が担っているのです。この現実を「科学・技術・学問の貧困」と言わずしてなんと言うのでしょうか。日本は、ノーベル賞連発で浮かれている場合ではありません。
そして、こうした状況も反映して、日本社会で、子どもたちの「理科離れ」が進んでいます。文部科学省の国際比較調査(2003年)によれば、「学校で理科をもっと勉強したい」とか「理科を使うことが含まれる仕事につきたい」という意欲は、日本の中学生では17%しかなく、国際平均値57%の3分の1にも満たない状況になっているのです。
このような「貧困」の原因は、高等教育への公財政支出が極端に低いことにあります。下の表は文部科学省のホームページに掲載されている「国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率」ですが、日本の「高等教育」に対する公財政支出はOECD30カ国中で最下位。OECD各国平均1.0%の半分の0.5%にすぎないのです。(byノックオン)
▼国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率

たて続けに日本人のノーベル賞受賞者が4人も出て、大きな話題になっていますが、東京新聞(10/9)は、「ノーベル賞に4氏…お寒い国内事情/実利偏重、学問立ち枯れ、基礎研究 食べていけぬ/人件費削減 大学授業も『マクドナルド化』」と見出しを打って特集を組んでいます。
「今後も日本の科学者が評価されるか、見通しは暗い」「産業や経済を優先し、短期成果ばかり求めるようなばかなことを続ければ、何年かたった時に日本の科学はどうしようもない状態になる」(放送大学・海部宣男教授・前国立天文台長)
「資金を得るための書類書きなどで忙しくなっている。近視眼的に役に立つ分野を優遇した結果、基礎分野が立ち枯れている」(総合研究大学院大学・池内了教授)
「国の政策を念頭に置いて採択されやすい研究内容にシフトし、企業などに擦り寄る姿勢が濃くなっている」「文科省は国立大学への運営費交付金を毎年1%ずつ減らし、大学も人件費を削っている」「科目自体が削られ、いわば、授業のメニューが少ない『マクドナルド化』となり、批判的な考えや違うものの見方は切られ、学問的な土壌は荒れ果てていく」(富山大学・小倉利丸教授)
「受験生は大学卒業後や就職を考えて動く」「じっくり基礎科学をやろうという学生が減っている。理学部の受験者が減っているし、そもそも物理で受験する生徒が減った」(河合塾・神戸悟元教育研究部員)
「独法化で研究の独立採算が掲げられたが、基礎科学が儲かるはずがない」「大学人の本務は研究と教育。しかし、独法化後、それとかけ離れたアピールと評価で忙しくなった。申請書の準備、組織いじり、ナントカ会議にカントカ委員会が殺到して時間が奪われる。当然、業績は長期的には落ちていくだろう」(東工大資源化学研究所長・吉田賢右教授)
「業績主義の独法化で基礎研究は細り、研究者のやる気も萎えているのが現状だ」(和光大学・最首悟名誉教授)
こうした研究者の悲痛な声とともに、特集記事では、「小泉改革の一環で『大学にも経済原理を導入する』という2004年4月の国立大学の独立行政法人化(独法化)などが影響し、儲からない学問を隅に追いやる傾向は強まるばかりだ」と指摘するとともに、「就職できない研究者が多いポストドクター(ポスドク)問題」もとりあげ、「教授ポスト削減傾向の中、研究者は一層、苦しい立場に追い込まれている」と日本の「基礎研究」を取り巻くお寒い状況を告発しています。
朝日新聞(10/10)には、今回、ノーベル物理学賞を受賞した高エネルギー加速器研究機構名誉教授・小林誠さんと、2001年ノーベル化学賞受賞の野依良治さん、2002年ノーベル物理学賞受賞の小柴昌俊さんの座談会が掲載され、次のやりとりが紹介されています。
小柴 宇宙の最初がどうだったかなんて、分かったところでどの産業の利益にもならない。やはり基礎科学は国が何とかしてくれないと、どうにもならない。国が本気で考えてほしい。
野依 今回の賞は基礎中の基礎分野だったことに意味がある。
小林 最近は競争、成果を強調しすぎている気がする。もう少し大学での基礎研究を重視してほしい。
また、「高学歴ワーキングプアは発言する〜『大学非常勤講師の実態と声2007』を手掛かりに」(『季刊ピープルズ・プラン』2008年夏号掲載。首都圏大学非常勤講師組合執行委員の南雲和夫さんが執筆。※じつは南雲さんは私の大学の先輩です)では、「大学の非常勤講師は、全国に3万人以上いて、平均年収が300万円程度であり、そのうちなんと4割が年収250万円以下であること、さらに大学講義のコマ数の4割を担っていること」を明らかにしています。なんと、日本の大学講義の4割を、「高学歴ワーキングプア」が担っているのです。この現実を「科学・技術・学問の貧困」と言わずしてなんと言うのでしょうか。日本は、ノーベル賞連発で浮かれている場合ではありません。
そして、こうした状況も反映して、日本社会で、子どもたちの「理科離れ」が進んでいます。文部科学省の国際比較調査(2003年)によれば、「学校で理科をもっと勉強したい」とか「理科を使うことが含まれる仕事につきたい」という意欲は、日本の中学生では17%しかなく、国際平均値57%の3分の1にも満たない状況になっているのです。
このような「貧困」の原因は、高等教育への公財政支出が極端に低いことにあります。下の表は文部科学省のホームページに掲載されている「国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率」ですが、日本の「高等教育」に対する公財政支出はOECD30カ国中で最下位。OECD各国平均1.0%の半分の0.5%にすぎないのです。(byノックオン)
▼国内総生産(GDP)に対する学校教育費の比率








